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あなたは世界最速のサイコロ、というのをご存じだろうか。ロケットやF1に使われるチタン削りだし技術を使って作った、チタン製のただのサイコロだ。が、それは「ただの」サイコロじゃない。まずそれは、すさまじい精度で分子レベルまで計算されたものであり、その表面の平らさはそこらのサイコロなんかの比じゃない。表面のひずみは投げたときに乱流を生じ、空力特性が悪くなる。それがないこのサイコロは、そういう乱流による速度低下が生じないから最速なのだ。さらにサイコロは、各面に目が刻んであるでしょう。一の面には一つ、六の面には六つ、くぼみが刻まれている。厳密に言えば、その刻み方の量がちがうと、各面が正確にはバランスしていないはずだ。このサイコロは、それを計算して各面の重量が完全にバランスされている。現代技術で考えられる限り、最も正確かつ厳密なサイコロなのだ。
もちろん……そんなことは見てもわからない。手にとって、そんなミリグラム以下のバランスのずれを感じ取れる人間はいない(ちなみに手あかや手の脂でも微妙なバランスが崩れるので、手袋がついてくる)。この「作品」に価値をもたらしているのは、それがそうやって作られたものであるという知識だ。それを知らなければ、この作品の価値はわからない。そしてまた、その精度は実用性とはまったく関係ないところに存在している。
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Friday 10/30/2009
5:41am (32 notes)
diatxt. 連載 #8 (via otsune)